あかね噺 3巻 感想[タイトル回収]ラスボスへ挑む可楽杯本選!!

あかね噺 3巻 感想

公式あらすじより引用

いよいよ始まった学生落語大会「可楽杯」。群を抜いたうまさで観客達の注目を集める朱音。こぐまの助言を受けて掴んだ、寿限無だけで勝つ戦い方とは!? 朱音の前に立ちはだかる、ライバル達の個性的な落語も明らかに──。それぞれの思いがぶつかり合う戦いの行方は…!

作画:馬上 鷹将
原作:末永 裕樹
初版:2022年10月4日発売

学生落語大会・可楽杯、ファイナリスト三者熱演!!

自信あふれるからし、自信がないひかる

対照的なあり方が、そのまま武器なのが面白い

どちらもやり方次第で正解なのだと

対する朱音自身も、演じる寿限無を「誰もが知っている」短所を長所へ

知ってる話だからつまらないのも事実

知ってる話だから面白い、学べるのも事実

志ぐま師匠の教えが光る回答編だった!!

父を破門にした暫定ラスボス・一生師匠

一生に落語を語り、唸らせる事が出来るか?

その答えは次巻に持ち越し

22話でタイトルも回収、次巻は「父・破門の真意」と第一部クライマックスですね

20話、21話と見せ場の見開きも秀逸!!

二段オチ的なオマケ充実も嬉しい

あと毎回扉絵がいい!!

第17話「可落杯予選」

朱音『でも… 最近分かってきたんすよ

 寿限無のキモは

『早口で喋る事じゃない

回想した直後、"早口"を武器に予選へ挑戦!?

あくまで基本に忠実

かつ完成度を高めに高めた技巧の一席だった!!

ですが「完成度」こそ高かったものの、寿限無という演目がネックで評価そこそこ

ありきたりすぎて優勝は狙えないと下馬評へ

ですが思えばそこも肝なのね

志ぐま師匠の課題「寿限無縛り」

師匠は寿限無だけで大会に挑めと無茶ぶり

誰もが知ってる、作中曰く「森のくまさんをプロが歌うようなもの」でしかない

凄い、だが優勝は無理と思うのが普通

ですがこの回は「予選」

予選と決勝、二度同じ寿限無を演じる為「敢えて優勝を狙えない演技」をやったんですね

また優勝は無理だけど技術アピールは成功

加えて「舞台度胸」の成長も実感

決勝へ期待高まる予選でしたわ

第18話「せからしか」

声優・高良木ひかる『バリムカツく』

せからしかはうるさい、そして超ムカつく!!

優勝候補“プロ声優"・高良木ひかるが、本当は博多弁なのだと知ってしまう朱音

当然、朱音は凄い!可愛い!と絶賛

ですが方言コンプレックス、また声優としての将来性に悩むひかるを怒らせてしまう事に

方言あるあるの悲しいすれ違いですね

朱音は単に褒めてるだけなんですが

ひかるは若手声優の切迫感から余裕がない

プロ意識の強さは長所でもあるんですが

魅生『師匠の仮面を剥げるかな』

予選通過した朱音に、格上先輩「ライバル」魅生からもプレッシャー!!

ただ朱音、これにも気負わない

かといって何も考えてない訳でもなく、内心では気負っている

このバランスは少年漫画的ですね

メンタルが大変健康美

第19話「可楽杯本選」

練麿家からし『若者に理解あるアピール臭過ぎ

本選審査委員長は、ラスボス・阿良川一生!!

加えて現No.2 “享楽"の一剣も登場

とはいえ一生師匠、一話とガラリ様変わりして「アマチュア」を絶賛します

まずは褒めつつ悪い所を指摘して助言

理想的な師匠ムーブ

これが前回言われた「仮面」世間様にいい顔する為の演技なんですな

第一話とはぎょっとする変わりよう

スパッと見抜くからしも流石

からし『人生を成功させる為に必要な資本 コレなぁんだ』

略『信頼できる自分自身

本選は事実上、朱音・ひかる・からしの争い

まずはトップバッター・からし!!

その強みは「自己肯定」、肯定するに足る積み重ねを己に課している事

これひかるちゃんと真逆なのが面白い

自信の有無が正反対なんですな

自信があるからからしは堂々演じるし、ひかるは自信がないから努力を怠らない

両反対な強さが魅力的ですわ

第20話「BM」

からし『どうよこの笑い声!!

 聞こえてるか阿良川一生ォ!!

風変わりなサブタイは、からしのオリジナル演目名

古典を現代アレンジして会場絶賛!!

つまるところ「落語はつまらない」

話自体は変えず、現代を舞台に置き換えたことで「観客に刺さる」見事な一席を演じました

原点はからし自身がつまらないと感じたから

だから自分で面白くする!!

なるほど「自信」の男ってだけありますわ

一生師匠『正直に言って 私は 全然笑えなかった』

驚くほどバッサリ

ですが曰く「それは私が、からしの笑わせようとしている層じゃないから」だと

からしの手法は「可楽杯に特化した」演目

その手腕自体は絶賛

なのでからし、前回の言葉と裏腹にかなり嬉しかったようです

一生の「仮面」をわずかに剥いだ

強い者ほど、よそ行きな誉め言葉でなく厳しい本音を引き出せるんですね

曰く「技術」自体は他と同レベル

なのに頭一つ抜けるアレンジ力とは大した男

第21話「ひかるの落語」

高良木ひかる 演目「芝浜」

続く「声優」ひかるは開演前からグダグダ!!

落語家じゃないゆえに色眼鏡で見られる

そんな観客を黙らせたのは、声優としての演技力を駆使する手法でした

観客をウケさせたからしとも違う

観客を引き込む演技力

魅生曰く「劇場型落語」なのだと

私は落語素人ですが、多分そういう層に「面白そう」だと感じさせるいいアプローチでした

こういう落語なら見てみたいと思える

どちらも主人公級の見せ場!!

マネージャー『私には見えていなかった』

締めは最も近い人間・マネージャーの言葉

ひかるの武器は「がむしゃらさ」なのだと

自信がない、だからこそ何でもやるしどこまでも努力し突き詰めていく

散々門外漢だと言われたひかる

コンプレックスで卑屈でもあった

ですがだからこそチャレンジスピリッツが光る回でしたわ

実にCongratulations!!

第22話「表現者として」

阿良川一生『私は学生が芝浜を演じるべきでは無い

 と考えています

略『だからこそ

 妻の心情を描き切ってみせた

 貴女の表現者としての能力の高さに

 たいへん驚かされました

ひかるに対しても当初バッサリ

夫婦愛の理解、技量が必要だからだと

転じ、ひかる自身が望んでいた言葉で賞賛

ひかるは「✖✖キャラ声優ひかる」でなく「ひかるという表現者として」を見て貰えた

相次ぐ反省と達成感

ずっとネガティブだったひかるが、ようやく心から笑えたいい第一着地点でしたわ

この件で彼女は「一剣」と縁が出来た様子

ドラマの人だからぴったりなのね

こぐま兄さん『あの男に 見せておいで』

朱音あかねらくご

タイトル回収でラスボスに挑む!

第一部ラストバトルっスね!!

様々な理由から朱音は勝てないと予想

ですが朱音、父の仇・一生を「落語家として」は尊敬していると告白

感情はグチャグチャ

けど怨恨でなく落語家として向き合いたいと

感情を軸に強い動機を持つのも大事

分けて考えられる公平さも大事

とかく前進する姿が快い!!

ラスト1P前、入場姿がキマってた!!

第23話「凪」

からし『…なんっつーか パッとしねーな

凪、観客が消化試合と感じて冷めてしまったところからスタート

朱音の演技は穏やか、笑う観客は全然いない

勝負を投げたかと言われる程

ですがこれは、「私を見ろ!」というからしやひかるの演技の後だからなんですね

観客はみな気おされ気疲れしてしまった

そんな「ニーズ」に応えた形なのか

まずは心地よい状況を作る事

亨二兄さんの教え、気働きを活かした手法

元々「子供の頃から修行」し、基礎スペックが高いタイプの主人公である朱音

ですが兄弟子たちの教えも光ってますわ

第24話「寿限り無し」

朱音『寿限無のキモは"言い立て"じゃない

『寿限無は

 親が子につけた

 長過ぎる名前を繰り返す事で笑わせる噺

 そんな長い名前をつけてしまう――』

『子を想うが故に溢れた親心

ゆっくりギアを上げてきた朱音

巻頭「寿限無の肝」を回収

理解できたのはおぐま兄さんの教え、そして自身の両親から聞いた実体験の賜物でした

寿限無がどんな噺なのか理解できた

理解したから伝えられる

からしのようなアレンジでも、ひかるのように盛り上げもしない

二人のような「自己アピール」ではない

ただただ穏やかに「伝える」演技なのか

ただこうなると、漫画的にどう読者に伝えるかが難しそうテーマでした

その解決、少年漫画的でいい描き方ですね

第25話「消える高座」

審査員・榊 龍若『客に上手いと思わせる内は二流…

 とはよく言ったもんやな

『高座から演者が消える

前回半ばから、漫画的な描写が大きく変化

朱音が演じる風景でなく「寿限無」の世界が、そのまま漫画化されていきました

観客=読者に朱音が見えなくなった

寿限無の世界が見えるようになった

それほどまで「噺の世界」に没入させる演技をしているという演出なんですね

ひかるの「劇場型」とも全然違う

あの時、皆が見ていたのは「ひかるの演技」でした

対し今回は「寿限無の世界」が見えてる

漫画表現で分けているのが秀逸ですね

回想・志ぐま師匠『何で寿限無を選んだのか…か』

略『登場人物になり切り考える

『"了見"それをアイツに学んで欲しかった

いよいよ大ウケとなっていく観客たち

観客もみな寿限無は知ってる、だから「情景を想像し没入しやすい」長所にしたのだと

師匠が無茶ぶりした真意を描き次巻へ!!

朱音の落語は師・志ぐまを彷彿

これは「一生が嫌いな落語」

その極致となるものなんですね

にしても一生師匠、妙に志ぐまを嫌うのはある種のツンデレなんですかね

朱音の父破門の理由は次巻で言及

ですがホントにアレだけ?

志ぐま師匠の課題

単に物語をなぞるのでなく、個々人がどんな思いで言ってるのかよく考えて演じて欲しい

そんな役の「了見」を考えて欲しいのだと

噺の背景を考えさせたおぐまと相通じる話

物語を理解し語り伝える

真っ当にやり切る難しさを描くこと

そのテーマもまた、普遍的ですし少年誌的な真っ直ぐさを感じますね

ライバル二人も異なるジャンルの巧者

二人と朱音も好対照でしたわ

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