チ。第6話 感想[天と地と]地球と宇宙は何たるか ネタバレ ―地球の運動について―

2024年11月10日

チ。―地球の運動について― 第6話「世界を、動かせ」感想

公式あらすじより引用

異端者とグラスの両者から「想い」を託されたオクジーが訪ねたのは、村外れの教会に住む修道士のバデーニ。彼は優秀ではあるが独善的で、とある思想上の禁忌に触れたことで街の修道院を追放された身だった。下級市民であるオクジーの言葉を信じようとしないバデーニだったが、この辺境で一生くすぶっているよりはと山奥へ向かう。石箱の中身に触れたバデーニは、あまりの衝撃に予想外の行動を見せる。

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修道士バデーニの大願、支払った代償

チ。―地球の運動について― 第6話 感想

バデーニの止められない研究欲

やめられねえ!止まらねえ!!

ダイナミック禁書読書

それでいて、修道士ゆえ「教会の教え」に上手く組み込む論法が出来るかもしれない

禁忌を常識に変えられるかもしれないのか

なんて頼れる俺様野郎

この見た目でインテリなのね!!

チャンスを逃がさない為の勉強家

バデーニはとんでもなく尊大ですが勉強家

目指すは天文研究での大成

そのチャンスが来たとき、ちゃんと活かせるように勉強し続けるというのが哲学

そして実際そうなったのね

前回のグラスたちと対照的

グラスはラファウの遺産を理解できなかった

せっかく発見も、学識が足りなかった

対しバデーニは、こんな時の為に勉強を重ねて来たので理解が出来たんですね

勉強賛歌なエピソードでもあった!!

オクジーの見た空

教会に、この地球は星の世界の最下層、穢れた地だと教えられてきた

空に見下されていると悩んできたオクジー

動くのは星だけなんだ

しかし地球が、星と一緒に動いているなら

それは地球は星の仲間だと

見下されてなんかないという事か

地動説が心を救うとは!!

オクジーはようやく、ひさびさに星空を奇麗だと思えるようになったのか

いい最終回だった……

星空が“なんか奇麗だ”と思った

対しバデーニ曰く、奇麗である事を当たり前にする方法がある!

その方法“世界を動かす”とは…?

謎めく締めでしたな

そも空が奇麗と思えなくなったのは

オクジーが空が怖くなったのは、教会が天動説を教えているからでした

そんな世界を、常識を変えろとバデーニは言ってるのか?

教会の教えが変わればいい

オクジーを本格的に仲間にする気になったって事でしょうか

オクジーとバデーニ

バデーニにはオクジーが必須

というのもこの研究は未完成、ラファウは数年かかると見越していました

研究には星を見る事が不可欠

そしてバデーニは目が悪い

オクジーの眼が、この異端研究に手を貸すような男が必要なんですね

暗い夜道はぴかぴかの、お前のまなこ役に立つのさ!

冒頭 確認する男

バデーニ『一つ確認したい、君の話は、私の人生を大きく変えると言えるか?

またえらい条件をつけてきたバデーニ

どんだけ忙しいんだ

これに限らず傲慢

オクジーたち下級市民をあからさまに見下すクソ野郎でもあります

ラファウとはまた違う癖の強さ

天才って変人ばかりなんだなあ

オクジー『わかりません………』

オクジー、なかなかグラスさんの名前を出さないのでもどかしい

出しても無駄と思ったか

バデーニ、一般人の相談をする時間も苦痛だったそうな

グラスの火星記録には

びっくりするほど食いついた

やはり天文好き

現代でもマニアが多いですし、生まれた時代が悪かったのかよかったのか

バデーニ『なぜ“逆行”からの記録がない!!』

火星が真円の軌道でなくなる「逆行」現象

グラスが絶望し、観測をやめたアレ

アレが今回の肝だったのね

バデーニ『惑星って名前自体が』

『“惑う人”、プラネーテスから来てるんだぞ? 軌道は迷うに決まってるだろ

以前、グラスが馬鹿にされてましたが

惑星軌道は惑うのが当たり前

そういう語源だったのか

バデーニ『(なんで私は…、こんなところに!!)』

からの主題歌を経て回想

かつて彼は、三校以上の上級大学から推薦されたものだけが入れる修道院に所属

修道院もエリート校みたいなのがあるのね

修道院長は体面にこだわる人物

それも納得っちゃ納得

院長『他は十人がかりで協力してる中、君はただ一人でこの量の問題を解いたそうじゃないか……』

繰り返しますが学力エリート

そのエリート十人分だと

天才を自負も納得の超天才

或いは、他のメンツはこうならないよう抑えているのかね

結果、ボッコボコに

院長『ここでは、想定を超えた勉強は許されない! 規律通りに行動しろ!!

他人と同じようにしろ、横並びせよと教えるのは東西南北中央不変の常識か

天才すぎて日常的に規則違反

日常的にボコられていた

どうも顔の傷は、その名残なんでしょうか?

見た感じ元傭兵といった凄みも

勉強一筋の人物だった……?

なんて怖い時代だ……

自らに鞭を打ちまくるバデーニ

鞭の激痛は、現代人の想像の遥か上とされます

無論、鞭の種類による

数回打てば皮が剥がれ、肉がむき出しになるようなものが「鞭」

鞭打ちで死んだ人間も数知れません

バデーニの野望、夢見る瞬間

バデーニ『……これで発言してもいいですか?』

イカれてやがる!!

下手な発言をすれば鞭で打たれる

だから事前に鞭を打つから、言いたいだけ言わせてくれというバデーニ

大の男でも気絶しそうな傷だ……

バデーニ『懲罰と引き換えに、勉強の自由を得られる限りは……』

略『利口なだけでは、“その瞬間”を掴みとれないッ!!

略『私がずっと待っている!!

『私を特別にする瞬間!私を偉大にする瞬間!

 私が歴史を動かす瞬間ですよ!

彼は歴史を動かしたい

異様な努力は、その下積みなんだと

ラファウはごくフツーに、エリートになろうと周囲と協調していたものの

同じエリートでも正反対

協調性のかけらもない

ですがそれが、“野望”の為に必要なんだと己に鞭打っているんですね

向上心の怪物かよ

事実、役立った

彼は天文学で大成したい

そのヒントを、ラファウの石箱から見出すことになるものの

グラスたちは「学がなく」解らなかった

バデーニは理解できる

彼の信念、努力が実ったんですね

たとえば諸葛孔明か

孔明は劉備に見いだされ、彼に協力した事で歴史に名を残しました

彼も、そういう瞬間を待ってる

チャンスへの努力を惜しまない

チャンスなんて来るか分からない、とかそんな事を言ってちゃ間に合わないと懸命

血を吐きながら続けるマラソンですわ

バデーニが神に証明したい難問

院長『一体何に必要なんだ?』

バデーニ『神が人類に課した、最大の難問を解くのにですよ

院長『全ての答えは聖書にあるぞ!

バデーニ『では、今一度聞きます

『なぜ星は……、後ろに戻ったりするのですか?

略『神が設計を間違えた事になる

『そんなことはあり得ない!

彼もまた、敬虔ゆえに禁忌に挑む者だったか

周囲からすれば神の教えを疑う異端者

ですが彼にいわせれば、神が間違っていないと証明する為の「信仰」なんだと

彼も、星が惑う事に納得できない人間だったか

世界は神が作った

なら完璧であるべきだ

完璧でないなら、そう見えるに足る「理由」を探したいと勉強し続けている

ラファウと相通じる姿勢なんですね

院長『そういう定めなだけだ!!』

当時の人々はそう納得してきた

世界が不完全に見えるのは、神の失敗でなく定めだからだと

星だけでなく全般にいえる事

現代に相通じる宗教姿勢か

院長『天と地は階級が違うのだ!!』

だから我々には分からない

天は偉大で高貴、下賤な我々地上人にはわからないだけなんだと

地上は下賤

オクジーを苦しめるのと同じ発想か

この院には「アテ」がある

修道院で居場所がないバデーニですが

ならなぜ他所にいかないのか

理由はここに、異端研究記録が禁書として保管されているからだったらしい

バデーニは異端の研究が見たい

しかしそれも限界、見切りをつけて大学に行こうかと考え始めた矢先

人生ってタイミングですね

ダイナミック禁書

偶然、禁書を発見

院長がバデーニの言葉で興味を惹かれ、禁書を書庫から出してしまった

窓を開けっぱなしにし、外から見える場所に放置してしまった

そして院長に命じられ、外作業していたバデーニが発見

あれこれ完全に罠では?

いや罠じゃなかったか?

ただの院長のうっかりだったか……

院長『今なら間に合う!それを置いて立ち去れ!!』

これまた偶然戻った院長と鉢合わせ

というかすぐ戻るつもりだったので、窓を開けたままにしてたんでしょうね

院長は最後まで制止

開けてもすぐ取り押さえるから無駄とも厳命

とにかく無益だと連呼します

視聴者のツッコミに先回りするが如き連呼!!

バデーニの決断

バデーニ『でも……、私はずっと待っていた!そんな“特別な一瞬”をッ!!

院長『残念だよ……

それでもバデーニは読んだ

ダイナミック禁書…!!

ほんの一瞬でしたが、後に研究に役立つのでしょうか……?

すんごい早口で読み上げてた……!!

バデーニ『こんな事を続けてたら!教会正統派は終わるぞッ!!』

思考停止するなと叫び続けた

まるで未来が見えてたように

当時既に、免罪符を売って稼ぐのが常態化

やがて1500年代、その批判をきっかけにルターの宗教改革が起こるのですが

まさにその先読みの如き指摘

論理で先読みする頭脳を持っているんですね

バデーニ『迷えるものの希望になれるのか!!』

思考停止は“教え”に不満を抱くものを生む

バデーニのようにか

このままでは世俗化し権威がなくなる

生臭坊主だと馬鹿にされる

そうなれば、対抗勢力を生んで滅ぼされるだろうと

教会は迷えるものの希望になれなければ、“権威”としての力を失ってしまう

畏れられてこその教会なんだろうと

舐められたら終わり

バデーニ『そしたら私の格も落ちるではないかッ!!

結局そこかよ!

この自分中心天動説野郎!!

見事な俗っぷりも魅力

院長『ま、その前に目を焼く』

最後まで粘り強く説得していたも

いい加減院長もキレたらしく、日常茶飯事のように右目を焼いて追放

過去散々こうやってきたんでしょうか

平静なまま目を焼けるって恐ろしい……

こうして地方に左遷

大学にも手を回され入学できず

権力者の怖さ

ラファウと対照的な世渡りの悪さ

そうだ、天国 行こう

オクジー『そうだ!天国だ……ッ!!

回想を終え、ラファウの遺産を見に行ってもいいと思ったバデーニだったも

その条件に、天体観測をオクジーに命令

星を見るのが怖いオクジーは拒否

終わった!オクジー編、完ッ!!

オクジー『だけど……、俺の人生でたった二人……』

『たった二人、彼らだけが……、死ぬその瞬間、満足そうな顔をしてた……!!

『いったい何故だ?

オクジーを動かしたのは表情

代闘士ゆえの経験か

彼は散々、代理決闘で「嫌そうに死ぬ人達」だけを見て来たから

数知れない中で初めて満足そうな死を見たから

彼らの動機が気になったんですね

苦しみ抜いた代闘士経験が活きたのか

異端者『絶望は希望に転化しうるのだ!』

グラス『この世界に期待する事だ!

二人は希望を、期待を持てと言ってくれた

託された想いに突き動かされたオクジー

本当に散々ダメだと苦しみ

一度はノートを捨てて

それでも星という「自分を見下す上位者たちの眼」と向き合う気になった

その恐怖はいかばかりでしょうか

映像的にも気持ち悪い

でもオクジーはもっと気持ち悪いんだ

それでも立ち向かったんだと

そう印象付けるシーンでしたわ

ラファウの遺産とバデーニ

バデーニ『これは……、宇宙が変わるぞ

最初あまりに冷静に

次いでタガが外れたように説明するバデーニ

いやいや難しい難しい!!

彼が勉強してきた事が役だったんですね

前回グラスたちは、せっかくの遺産をみてもちんぷんかんぷんでした

彼らは勉強してこなかったから

しかしバデーニは違う

勉強が役立った、信念は正しかったのか

思わず吐いたバデーニ

変人だ!

何やらかっこつけてましたが

それくらい衝撃だったらしい

宇宙が変わる

もちろん宇宙そのものは変わらない

ですが人間の知識、常識としての「宇宙という概念」がこれで変わるんだと

人間にとっては宇宙が変わったに等しい!!

バデーニ『地球は……、動いてる』

オクジー『…………全然、動いてないですが……

バデーニ『だな

急に冷静になるな!

だからこそ難しかった

地球が丸い事も、動いてる事も、長らく信じられなかったのもさもあらんですわ

そしてもしかしたら

そうした今の「常識」も、未来からみれば原始的なものかもしれませんね

世界は日々変わっていくもの

バデーニ『だが、間違いにしては、ここに描かれてる事はあまりにも……』

『合理的だ

そこで“星が惑う”を理由を実験

バデーニが火星軌道

オクジーが、地動説に基づいた地球軌道を再現する実験を行ってみました

するとどうでしょう!

二人は円を描くように歩いていた

なのに地球のオクジーから見て、火星であるバデーニは逆行しているように見えた

実際にはそうではなく、そう見えるだけだと

そういう理屈だったんですな

地動説と速度

地球は火星より早いので、並走しててもいずれは追い抜いてしまう

追い抜く直前は、火星の速度が鈍ったように「地球からは」見える

そして追い抜く直後、火星は後ろ向きに進んでるように見えた

地球の方が早いからそう見えたと

オクジーが地球担当だから、彼主観だと解りやすい

思いつけたバデーニさんすげえや

バデーニ『プトレマイオスの千年を覆す秘密が隠されていたぞ!』

本当にただ歩いただけ

それだけでこれまでの常識を覆す事が出来た

過去プトレマイオスが提唱し、千年に渡り常識とされていた発想が覆った

ラファウの研究が、歩みが受け継がれた

エンディングはそういう象徴か

“なんか”を、絶対にする方法 

バデーニ『我々の住む大地は!』

『醜い底辺として切り離されてるのでなく

 とうの昔から

 あの美しさの一員だったのかもしれない!

地球は醜い場所じゃなかった

あの星々と同じ、輝く場所なんだと

地球が動いている、その事実がオクジーの心すらも救ってくれたんですね

オクジーと同じ悩みを救ってくれる

地動説は“救い”なのか

オクジー『今日の空、なんか奇麗じゃないですか?』

バデーニ『……ふっ…

『その“なんか”を、絶対にする方法が一つだけあるぞ!

『世界を、動かせ

かくて久々に空を好きになれたオクジー

そも怖くなったのは教会の教えのせい

であれば教えを変えられれば、もう二度と怖いと思う事はなくなる

空は奇麗なのが当たり前になる

そう変えてやろう

それが「世界を動かす」という誘いか

実際バデーニはオクジーが必要

彼もまた右目を焼かれてまともに見えない

文字を読むだけでも眼鏡が必要

オクジーの眼が不可欠

なんだかラファウを思い出しますね

巻き込まれ主人公オクジー

いい最終回から、新しい物語の始まりだった!

次回、第7話

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チ。―地球の運動について― 感想

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チ。―地球の運動について― 第2話「今から、地球を動かす」
チ。―地球の運動について― 第3話「僕は、地動説を信じてます」
チ。―地球の運動について― 第4話「この地球は、天国なんかよりも美しい」
チ。―地球の運動について― 第5話「私が死んでもこの世界は続く」
チ。―地球の運動について― 第6話「世界を、動かせ」