チ。第9話 感想[ピャスト伯]それを真理と呼べたなら ネタバレ ―地球の運動について―
チ。―地球の運動について― 第9話「きっとそれが、何かを知るということだ」感想
公式あらすじより引用
天文研究所の所長・ピャスト伯は、先代の教授から受け継いだ「完璧な天動説の証明」に残り少ない命を捧げていた。天体の観測記録を提供して欲しいというバデーニらの申し出を一度は断るピャスト伯だが、ある条件を理由に承諾する。その条件とは、彼がかつて観測したという見えるはずのない天体――「満ちた金星」を観測することであった。大任を担うことになったオクジーはその重責に耐えられるのか。
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「チ。―地球の運動について―」第9話先行カット&あらすじ公開! 観測記録提供の条件にピャスト伯は見えるはずのない天体の観測を求める https://t.co/JdainfQm0c #チ球の運動について pic.twitter.com/ksv5k056j0
— GAME Watch (@game_watch) November 20, 2024
彼が見た、"宇宙を確定させる"もの
ピャスト伯、数十年もの想いが切ない
知る事の素晴らしさと残酷さ
最期、今から天国の恩師に真理をお話しできると呟いて逝ったピャスト伯
地動説こそ真理だと認めたという事?
せめて最期に満足できて良かった…
新しい発見は、古き定説の否定
ラファウやバデーニは発見の感動を描くも
ピャスト達、否定される側の視点は辛い
自分と師匠の、2,000年もの蓄積が無駄だったと否定されたという事なのですから
辛いけれども本当に良かった……
ラストが「夜明け」なのが象徴的ですね
今回、オクジーが見たのは満ちた金星
従来の天動説では必ず欠ける
満ちるのは地動説が正しい証
定説がはっきり覆されたのか
ただ当時では、写真といった客観的な証拠が提示できないのが大問題
その点、現代はつくづく恵まれてますな
冒頭 ピャストに委ねられた"宇宙"
教授『私の宇宙を譲ろう』
なんと胸を躍らせるワード
前回に引き続き、ピャスト伯の回想から
彼が身を寄せた観測研究施設
前回から数十年
かつて教授は、観測資料は自分の為だけに使うと豪語していたものの
ピャストに追い抜かれたと告白
資料室の鍵・成果を託すと言ってくれます
誰もが歳をとっていく……
今も「研究を完成させるのは選ばれた者だ」という持論は変わっていません
でもそれは自分でなくピャストかもと変化
未来のバデーニはどうなのか……
そも彼は天寿を全うできるのか?
ピャスト『何を恐れている! 重要なのは無謀さではないか!! 勇気を持って挑むんだ!』
『教授の宇宙を完成させるん…、……!?』
当初ピャストは引継ぎを断った、その時は純粋に気後れだったらしい
ですが問題は直後か
おかしなものを見た
もしも見ていなければ、素直に継いだ
小さな偶然が人生を変えた
神様のいたずらのようですわ……
更に後年、教授は死の淵に
教授『あれは美しい……、緻密で理想的で聖書にもアリストテレスにも則ってる……
それを疑った事は一度もない』
『だが…、だが……!!』
『完成しないのだ! いくらやっても…!!』
生涯かけた研究が完成しない
彼の描いた宇宙の運行図は、どうしても現実と誤差が出てしまうのだと
死の淵で絶望の涙を流した教授
かつての傲慢さが嘘のよう……
そしてその完璧さは、視聴者には欠点そのものに聞こえるのが切ないですね
天動説でそんな完璧はありえない
失敗作なのだと
グラスさんの絶望を思い出しますね
『そもそもこの仮説が、前提から間違いだった場合だ!!』
『だとしたら私は…!! 私はなんて無駄な人生を……!!』
ピャスト『違う…、そんなのありえない!!』
『宇宙が完成しなかったのは、教授の能力が単に足りなかっただけだっ』
教授『えっ……』
ピャスト『だからあの研究は間違いじゃない!
捧げた教授の人生も!!
間違ってない!!!!』
咄嗟に否定する優しさ
人生の最期で、無能だと否定されるのがこんなに嬉しい事だったとは!!
教授が最期に改めて泣けたのは
微笑むことさえ出来たのは
愛弟子の優しさが嬉しかったから?
研究を継いでくれるだろうという確信か
現在のピャスト伯が、あれほど強硬に地動説を絶対に認めないのはこれが理由か
天動説否定は己を、恩師を否定すること
これまですべての否定なんですね
『真理を……』
そう約束して、教授は死去
以降ピャストは研究の鬼に
昔の彼は常識人でした
押しの強い教授に振り回される、優秀な常識人といった印象を受けたも
以降ガラリと変わったんですね
後の研究鬼である……
再び現在、ピャスト伯が迫る"証明"
ヨレンタ『なにを見たというのです?』
ピャスト伯『満ちた……、金星だ』
オクジー『は……?』
困惑するオクジー、彼に皆して説明へ
ありがとうオクジー!!(視聴者)
ピャスト伯は、かつて見た「ありえないもの」を観測することを迫ります
即ち満ちた金星
天動説ではありえないもの
もし観測できれば地動説の有力材料
観測できねば地動説否定だと
オクジーが観測することで、決定付けられるとはとんでもない大役ですね
シュレディンガーの満金星である
ピャスト伯『これが出来れば、当時の私と同程度の視力だと言える』
いやいやどんだけ眼が良かったんスか教授
さすが「眼」で謳われた男
もちろんオクジー、自信なさげにズバリ的中
遠くに描かれた丸か四角
どちらか言い当てろと言われ、半欠けの丸じゃないですかと答えるオクジー
まあ爺ちゃん性格が悪い
ですが正しい、運に頼らない完璧な視力テストでしたわ
オクジーさんマサイ族かな?
ヨレンタ『この世は苦しみが多いと思う為ですか?』
改めて要点を整理するオクジーとヨレンタ
作中現在の天動説が、地球は宇宙の底辺・罪深い場所だと教会が説く根拠
でも天に行くという救いの根拠でもある
地動説では救いがない
希望を失うという見方も出来るのね
ヨレンタ『でも、ずっと疑問だったんです』
『この世は、最低というには魅力的すぎる』
略『悲劇のたぐいの者達ですら、何故かすべて美しさを備えている……!!』
なんと膝を叩きたくなる見方でしょう
確かに人間社会はクソ、ヨレンタはそうハッキリ言える「資格」があるッ!!
ですが彼女、認めているんですね
世界は美しいと
であるなら、地上は穢れた地だという天動説には疑問を持ってしまうのだと
これは特にオクジーには貴重な見方
彼はネガティブ
対しヨレンタは、ポジティブに"世界を楽しんでいる"面もあるんですね
学があるのもその理由の一つでしょうか
バデーニ『少なくとも私は真理を知れる』
例え満ちてなくても、満ちてるとピャスト伯が認めなかろうとも
検証できるだけで丸儲けだと
なんとも端的
実際、今日「金星が満ちる」と知れたのも伯のデータあってこそでしょうし
プラスを見据えられるのは強い
オクジー自身はどう思うのか
オクジー『一番良く分からないのは……』
『俺は今、"満ちた金星が見たい"ってことです!』
散々、マイナスな事をぶっちゃけたものの
既に腹は決まっていた
オクジーは気付いているんでしょうか?
これは彼が、世界に期待をしはじめた大きな一歩なんじゃないでしょうか?
世界は素晴らしいと、観測を通じて確定させたいのか?
グラスさんと異端者もニッコリだよ……
きっとそれが、何かを知るということだ
オクジーが確定させた宇宙
オクジー『満ちてる……!!』
オクジーは満ちた金星の観測に成功
宇宙の形がまた一つ固まった
大きな一歩だ……
もっとも、本当に満ちていると客観的な証拠は用意できません
証明って大変な事なんですね
現代もAI発達で難しくなっていますが
『ずっと前と同じ空を見てるのに、少し前からまるで違って見える……!!』
バデーニ『だろうな』
『きっとそれが……、何かを知るということだ』
サブタイ回収するバデーニさん
知る事で世界は変わる
この場面はオクジーの個人的な変化
世界は底辺じゃないと知り、星は下界を見下す目でもなかった事も知った
世界がぐっと美しく見える
それも「知った」おかげか
いずれこの「知識」がみんなの宇宙観を変え、教会が説く「常識」を覆す
そうして世界すら変えていくのでしょうね
ピャストが見た真理
ピャスト伯、断固として認めず
バデーニ『そうやって成立した宇宙は
神が作った自然か、人間が作ったこじつけか』
『あなたはそのどちらに見えますか?』
容赦なく老人の心をへし折るバデーニ
その正しさは彼に効く……!!
食い下がり、金星観測などたいした根拠にならないと言い募るピャストだったも
それがこじつけなのは彼自身理解
解かるからこそ効く
本作ではこれまで「それが神の教えだからだ」と地動説が否定されてきたものの
そうした思考停止だけじゃあない
思考し続ける学者にも致命的なのか
『積み重ねた研究を一瞬で否定する力があって、個人の都合や信念を軽く超えて』
『究極に無慈悲で』
『それゆえに平等な』
『そんなものがあるとしたら、それを何と言うかと思いますか?』
ピャスト伯『それは……』
略『真理だ……』
真理とは無慈悲
ひたすら積み重ねた老人の考えだとか、若者の考えだとか考慮しない
ただ「事実か否か」だけ判定する
それは究極の平等なんですね
バデーニのダメ押しで伯爵は陥落
資料室の鍵を渡してくれます
あの教授に託された鍵を
ただピャスト伯、なかなか鍵を離せず粘ってしまうのがかわいい
ですが冗談ではない
それだけ重い重いものなんですね
ピャスト『この鍵の先に、何年分の人生が積み重ねられていると思う……!!』
『…………二千年だ……!!』
ピャスト伯たちは、天動説こそ事実だと検証する為に二千年費やした
でも前提から間違っていた
自分達は無駄だったのかと
伯爵が鍵を渡せないのは、それだけ背負ってるものが大きすぎるからなんですね
このからっぽが 大きすぎるから
『そう、願っている……』
実際、伯の資料が地動説を完成へと近づけるなら
これまでの研究は確かな意味があった
人生に意味があったのだと
そう言えるのでしょうか
また今後、もしかしたら数百・数年年後にまた新しい発見があるのかもしれませんね
人は、文字を読む事で辿れるのですから
バデーニ『屋敷の研究者でもないのに、ここで作業するわけにはいかないっ』
バデーニの珍しい常識性が、非常識な頼みとなってオクジーを襲った
ひとまず今後の方針について
バデーニは村で研究へ、オクジーに資料移送を命じます
いやいや何トン運べばいいの!?
そしてヨレンタは離脱
元々資料要員としてスカウトしたから
もう役目終わったんですな
それに巻き込むまいという配慮か
字が読めるとはどんな気持ち?
ヨレンタ『私たちの人生は、どうしようもなくこの時代に閉じ込められている……』
『だけど文字を読むときだけは!』
『かつての偉人たちが、私に向かって口を開いてくれるっ!!
その一瞬、この時代から抜け出せるっ!!』
オクジーがヨレンタに質問
対しヨレンタ、奇跡だと
何故なら字が読めれば、時も場所も越えて知る・対話する事が出来るのだと
それは「現代」に閉じ込められた人間にとって
時間を越える事に等しい
まるでタイムマシン
特に本作で中、数百~千年昔の人物の話がポンポン出ますけれども
それも全ては「字が読める」から
この"特権"、楽しまなきゃですな!!
また今回、知ることによって見える景色は変わるのだとバデーニは語りました
字を読めれば無数の発見が出来る
無数の解釈、考えに触れられる
字は「知」への大きな一歩
オクジー、字を学ぶこととなるのか……?
ピャスト伯『やっと……、お話しできます……、……真理を…!!』
何やら書き記したところで絶命
口では地動説を否定し続けたも、それが真理だと認めて逝けたのか
最期に見た星空、宇宙の素晴らしいこと
彼もまた地動説を「知る」事で
星空がまたひと際美しく見えたのでしょうか?
知る喜びを最期まで味わっての死
コメント欄に曰く挫折と喜び
切なすぎるも本当に良かった……
今後、資料を持ち出せるんでしょうか?
ヨレンタさんの勤め先は?
そしてヨレンタさんを通じ、オクジーがノヴァクさんに見つかっちまうのでは?
ただでは終わらない締めだった!!
次回、第10話
チ。―地球の運動について― 感想
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チ。―地球の運動について― 第2話「今から、地球を動かす」
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チ。―地球の運動について― 第5話「私が死んでもこの世界は続く」
チ。―地球の運動について― 第6話「世界を、動かせ」
チ。―地球の運動について― 第7話「真理のためなら」
チ。―地球の運動について― 第8話「イカロスにならねば」
チ。―地球の運動について― 第9話「きっとそれが、何かを知るということだ」
ディスカッション
コメント一覧
ピャスト伯はもちろん辛いのは辛い…
っていうか人生で一番の挫折をしたのですが
それでも真理に近づいたという成果を得て
教授に報告できるようになったのです。
フベルトさんがラファウに告げた言葉
”不正解は無意味を意味しない”
の具体的なエピソードの一つになってますね。
フベルトさんの言葉が、それこそ「時を越えて口を開いた」ように重なっているんですね
オクジーが「知る」ことで空の見え方が変わったみたいに、ピャスト伯が最期に見た空も今までとは違った形だったのかなとか
前後のエピソードと重なるのが素敵ですね