チ。第22話 感想[ノヴァク]人を異端と呼び拷問し殺すなら ネタバレ ―地球の運動について―
チ。―地球の運動について― 第22話「君らは歴史の登場人物じゃない」感想
公式あらすじより引用
真正面からぶつかり合う「異端解放戦線」とノヴァク率いる騎士団。その隙に逃げるドゥラカとシュミット。ドゥラカの提案とは陽動作戦だったのだ。ノヴァクの猛追に、シュミットは最後の力を振り絞る。命からがら街へと逃げ延びたドゥラカが訪ねたのは、司教のアントニだった。利に聡いアントニにある取り引きを持ち掛けるドゥラカ。アントニが傾きかけた時、ノヴァクが踏み込んでくる。
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ノヴァクの衝撃、アントニの結論
自分で選んだ運命を誇り、自分で責任を取った
シュミットの最期がノヴァクと好対照
そう地動説は別に異端じゃなかった
今さら!?
でも聖書を読んでれば解かる事だったのか
ノヴァクも聖書を読み、自分で考えていればよかったのか
いかに「知」が大切かって話ね
そもそも歴史上、ガリレオ・ガリレイの異端審問のイメージが強すぎるも
現在はその見直しが進んでるそうな
別に教会は地動説を全面禁止はしてなかった
あれはいわば局地的な裁判
そして本作も、どうも似た状況だったらしい
ちゃぶだい返しにも程がある!?
アントニは聖書の記述・解釈に詳しい
その彼が言うには、聖書に地動説を否定するような部分はほぼないと
だから異端認定が必要なら、論拠をノヴァクが用意する必要がある
人を異端と呼び拷問し殺すなら
自分で論拠を出すべきだと
だがノヴァクは前司教の指示でやってきただけ
彼には証明する学力はない
自分の頭で考えて来なかったツケか
考え抜いたドゥラカと対照的なんですね
地動説が異端扱いされた理由は
たまたま本作での教会支部が、地動説を異端扱いする司教に主導されてきた
彼がいなければ違ってたろうと
確かに前にそんな話もありました
しかし今さら!?
いつも「仕事だから」と割り切ってた
上の指示に従うだけだった
ノヴァクのサラリーマン的な性格が、まんま今回への布石だったんですね
不気味な性格が一転して不憫に!?
視聴者の多くはガリレオ・ガリレイの逸話を知っている
そして多分聖書を読み込んでない
ガリレイのイメージで納得
聖書を読んでないので、地動説は異端だという話に違和感を持たなかった
イメージで考え無知だった
だからこの結末に驚かされたのでしょうね
やはり「知」は大事だった……
歴史の登場人物じゃない
歴史に書かれるまでもない些末事
この後ガリレオ・ガリレイへ、地動説を異端とする裁判がある
コペルニクスが「天球の回転について」を著す
本作はどちらでもない
それがそのままオチだったのか……
冒頭 それで良いのか
レヴァンドロフスキ君『仕事だ』
『良いも悪いもない』
異端解放戦線の皆を囮にして逃げる
自分で提案も、まだ迷うドゥラカ
対しレヴァンドロフスキ達は、実質「気にするな」と背を押してくれました
やるべきことをやるだけ
出会ったばかりのドゥラカの為に死ぬ
目的達成にはそれが最適と信じてか
ドゥラカ『ヨレンタさんからしたら軽い気持ちの一言だったのかもしれないけど……』
『でも……』
『私にはあの声が、私の価値観への、私の未来への
肯定に聞こえた』
ヨレンタに肯定された気がして嬉しかった
あの人の為に何かをしたい
きっと皆、想いは一緒なんですね
ヨレンタは「印刷機を貸す」と言った
ドゥラカがやりたい事を肯定した
村長は頭か否定したし、叔父は自分の為にドゥラカの未来を奪った
彼らとの明確な違いなんですね
やりたいことを肯定する
それは「その人の価値」の肯定か
前置きの長さがシュミットに似てきたドゥラカ
こうやって影響しあって人は成長するのね
こうして皆が共感できる動機を持っていて
皆に報いようと動くドゥラカ
そんな彼女の為だから、皆も覚悟を決める事が出来たんでしょうか
そうでなくても彼女以上の案がなかった
最善の道と信じてか
アッシュ『怖い……、怖い……!!』
自爆に怯えきるエリート審問官アッシュ
冷ややかに眺めるノヴァク
先の解放戦線の覚悟と好対照
またこの時、冷ややかだったノヴァクが後でと思うと複雑ですね
ノヴァクは間違いなくプロ
それでも足りないものがあったんですね
シュミットのささやかな願い
シュミット『私にとっては世界一素晴らしい時間なのだ』
『それを伝えたくなってね』
作戦直前、ドゥラカにも朝を好きになって欲しいと告げるシュミット
自分の感動を、この子にも感じて欲しい
あの素晴らしさを知って欲しい
そんな人間的な衝動か
本当、今回のシュミットさんは人間でした
それが嬉しくも切ない
シュミット『さあ…? しかしおそらく』
『私と君が、偶然出会ったからだろう』
思うに会いたい人とだけ会えば、同じ価値観ばかりになってしまう
同じ価値観なら伝える必要はない
伝えるべき感動がない
違う価値観だから刺激的だった
そこに「偶然」の価値がある
価値が違うから解って欲しいのか
解放戦線vs.審問官
ノヴァクさん『クソ! あっちはは囮かッ!!』
やがて戦線が真っ向から迎撃
その騒ぎに乗じ、シュミットが馬を奪いドゥラカと脱出します
この為にシュミットが必要だったのか
正直悪目立ちした感も
ですが馬がなければ、後手に回るだけか
少数勢力は常に先手を打たなきゃ勝てない
ノヴァクさん『テストゥドか……』
なんと身体を完全に覆う大楯で武装
フルアーマー解放戦線!!
ですがノヴァクが冷静な判断し、アッシュが金切り声で受けて騎士団が対応
騎士団の強みはクロスボウ
大楯はそのクロスボウを防げるので強い
でも重いので近接戦に弱いのか
剣で殴られたら、盾自体の重さもあって解放戦線は陣形が崩れがちに
この後やはり全滅してしまった……?
テストゥドとはラテン語で亀を意味
カメェェェッー!
盾で亀のように守り、弓矢に鉄壁を誇った
しかしカルラエでパルティア軍に敗北
結果的にシルクロードの発達に繋がった
ノヴァク追撃
ノヴァク『アッシュくん!!』
アッシュ『あっ……』
エリート審問官アッシュはパニック
ノヴァクは彼に見切りをつけ単身追撃
陽動なのは傍目には丸わかり
ですが自爆に怯え、判断力を失ったアッシュには対応困難だったか
ヨレンタさんの遺産ですね……
それはヨレンタさんの遺産か
彼女は、組織が壊滅したと印象付ける為に敢えて自爆したものの
それ以上のものを遺したんですね…
シュミット、最期の戦い
シュミット『今、初めて"怖い"』
ドゥラカ『えっ』
単身、騎士を迎え撃つシュミット
略・シュミット『君を殺す! 動機は私の都合だ!! すまん!!』
前回に続き、神の為でなく「自分」の為
最期の最期の大きな変化でした
シュミットはノヴァク含めた三人を単身迎撃、貴重な時間を稼いで散った
これまでは全てが神が決めていると自認
死すら怖くなかった
全ての結果は、神にとって意味があるだろうと思えるから死すら怖くない
死にも意味があると思えるからか
対し自分で選ぶことは怖い
その意味が、結果もわからないからか
無駄死にかもしれないから?
ノヴァク『地動説信者に相応しい、惨めな運命だ……』
シュミット『し、しかし……、私が、選んだ、運命、だ……!!』
たとえどんなに惨めだろうとも
自分が選びとったものだと
そう誇ってシュミット戦死
これまで神に委ねてきた選択を、自分自身の手に取り戻した
そこに紛れもない誇りを感じる死でした
最後まで語り続けた人だった……
ノヴァク、遅れてダメージが入って昏倒
もし倒れていなければ、普通にドゥラカは彼に殺されたんでしょうね
あまりに完璧に時間を稼いだのだ……
ドゥラカによる出版作戦
ドゥラカ『あなたにぜひ協力して欲しい! 印刷機の使用と、本の発行許可を貰いたいんです!!』
『必ず損はさせません!!』
ドゥラカの作戦とはアントニに頼む事
皆に時間を稼いでもらい、自分の知人であるアントニ司教を頼る事でした
皆は「司教に頼むなど不可能だ」と困惑
しかしドゥラカだけは信じてた
金が繋ぐ利害の絆
アントニは、25年前の時点で「教会でより稼ぐ」事を信条としてました
そして今、教会に代わる商売を求めていた
ドゥラカはそんな彼に賭けたんですね
あのアントニが希望とは……
街全体が門、門番に守られていた
そこでドゥラカ、鉛で作った硬貨を見せて「鋳造職人」だと偽証
おそらく前回の余りで作ったか
父の遺品が活きたのでしょうね
ドゥラカ『平たく言うと、"地球の運動について"です』
ドゥラカは出版事業をアントニに力説
教会正統派として、その退潮を感じていたアントニは乗ってきました
かつて利害で実父すら追い落とした男
利害さえあれば味方に出来る
なんて頼もしいクソ野郎なんだ……
ドゥラカ『果たしてこの説は、本当に異端なのですか……?』
『それは刺激的な娯楽の題材になりませんか?』
ここにきてまさかの疑問
そして納得により和解
実はドゥラカ、地動説が異端と聞いた事がない
そして言われたアントニも、そういや他所では聞いた事がないと納得
彼女は流浪の民
だからこそ他にない視点を持っていたのか
こんな形で活きるとは
本作における地動説弾圧とは
アントニ『いや…
しかし確かに
他所で弾圧の話は聞いた事がない』
略『要するに君の考えでは』
『地動説が異端かどうかは、時の権力者の裁量によって大きく変わるという訳か……』
まさかのちゃぶ台返しで和解へ
元ネタはガリレオ・ガリレイか
彼の地動説・異端裁判は、彼に対する個人的な恨みが原因とする説があるらしい
決して教会全体が異端視した訳じゃないと
そうだったの!?
ホント過去、歴史は何度でも書き換わる
現在の誰も「その場」にはおらず、真実を知るすべは記録しかないのですから
その発見、解釈次第で歴史は書き換わる
歴史はアップデートの学問なんですものね
アントニ『私の歩み寄りを考えろ!』
儲けの八割を渡せとも主張
ブレない金の亡者
アントニと協力体制確立へ
またヨレンタさんが託した手紙を発送
果たしてこの手紙は?
まさか父への手紙なのか?
困惑のノヴァク
ノヴァク『……え?』
『そんな、冗談だろ!?』
口調がまんま昔通りに戻るのが切ない
あらすじ通り踏み込んだノヴァク
しかしアントニ、地動説は異端じゃないと主張
異端逮捕どころではなくなります
ウソみたいな頼もしさ!?
地動説は異端か?
アントニ『君は地動説の、何が問題だと思う?』
ノヴァク『は?』
略・アントニ『いいかノヴァク君、解ってないならハッキリ言おう』
『人を異端と呼び拷問し殺すなら
その理由に正当性があるのかくらいは
自分で調べろ』
『行動に責任を持て!』
ノヴァク『い、いや……、正当性って!?』
どの口が言うのかと言いたくなる主張
しかしノヴァクは司教命令で異端認定していた
彼に「異端判定」の知識はない
異端審問官は神学を修め、何が聖書に照らして問題か読み解ける知識が必要
だからアッシュのようなエリートが担うのね
対しノヴァクは元傭兵で場馴れ
実戦や拷問では有能
特にここ四話、彼の有能さは目を見張るほどでした
しかし肝心要の知識がないのか
アントニ『もし万に一つ、大地が実際に動いてるとしても』
『その前提で聖書を読み直し
再解釈に努めるのが
我々の役目だがな』
実際、現代でもそうやってるって事なんでしょうな
アントニはすらすらと聖書を暗唱
しかし問題じゃないと
対しノヴァクにはそんな知識がない
悪く言えば判断を上司に委ねてきたツケ
サラリーマンだった事のツケか
アントニ『何か挫折を経験して
空への憧憬は劣等感へと変わってしまったのかもしれないな?』
略『私の推測する事の顛末はこうだ』
『あるところに宇宙論に特別厳しい権力者がいて
運悪く彼の管轄内で地動説を研究した者達が
異端者の烙印を押された……』
『人々は「地動説は異端だ」という物語を信じるようになった……』
『そしてその汚れ仕事は
修道会出身の通常の異端審問官でなく外部の者』
『つまり傭兵あがりの君に委託された』
※だから異端かどうかを審問官自身は考えなかった
『もしそうだとしたら
この騒動は教会や人々の信仰を守る聖戦などではなく
一部の人間が起こした
ただの勘違いだったという事になる……』
皆、限られた範囲の中だけで生きてきた
だからそれが真実と思い込んだ
情報不足による誤解だと
知の狭さが招いた自体
あまりに本作らしいまとめでした
異端認定の根拠は当時の司教
ですが司教はかつて天文学に傾倒
アントニ、父はただのコンプレックスで地動説を迫害してたんだろうとバッサリ
さすが父を追い落とした男
アントニだから言い切れる!!
信頼に足る話になってしまうのが皮肉
ノヴァク『勘違いで済まされるものか……!!』
『フベルト!ラファウ!オクジー!バデーニ!』
『地動説で処刑された者の名だ!! 私は確かに殺したんだ!!』
『そ、それに私の娘も……!!』
罪悪感を長年眠らせてきたんでしょうか
ヨレンタの名はここでは出ず
皆、生まれた時と場所が悪かっただけ
アントニはこれまたバッサリ
いよいよ気の毒になってきた…
また、もし生まれた場所が現代日本でも罪には問われなかったでしょう
時と場所は残酷なまでに大事か
アントニ『(処刑記録は)明日の朝には、何もかも消えるだろう』
朝焼けで 手が染る頃には もう忘れてるんだ
またバデーニ達はみな非公開処刑
第一話の異端者のような街中での公開処刑ではありませんでした
あれは司教の独断なのが一因か
公開ならどういう罪で裁いたか記録が残る
地動説は異端だと残ってるはず
ですが非公開だと記録の有無は怪しい
どころかアントニが抹消を明じ、仮に残ってても処分されるとの事
地動説を理由に裁く事は不可能になった
そんなどんでん返しある!?
アントニ『それが運命というものだ』
『受け容れるしかないだろう』
『君や君が担当した異端者たち』
『君らは、歴史の登場人物じゃない』
あまりにメタを感じさせるサブタイ回収
歴史に書くに値しない存在だと
ただの地方権力者の偏見による産物
教会正統派による弾圧や、彼らに立ち向かう反抗者ですらなかった
それを言っちゃあおしまいだよ……
たとえばフランス革命は歴史に記された大事件
歴史の転換点です
対しノヴァクたちは地方の圧政レベルの話
歴史に書くまでもない些末事って訳か
本作はガリレオでもコペルニクスでもない
その事がそのままオチだった!!
この後実際、地動説による歴史的事件は起こる
天球の回転についてが歴史に残る
本作がどちらでもないのは、元々「そういう物語」だったからなんですね
言われてみればその通り
こんな残酷なオチがあっていいのか……?
次回、第23話
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