機動戦艦ナデシコ 23-24話 感想[ナデシコは誰の船]木星との転機、同じ物を見て違う答えに辿り着く人々
機動戦艦ナデシコ 23-24話 感想
14-26話は2024年1月20日(土) 17:59まで
第23話「『故郷』と呼べる場所」
ナデシコを降りたユリカたちは、かつてアキトが働いていた食堂に身を寄せていた。同様に、メグミも声優として復帰する。しかし、メグミの出演した番組は、戦時士気高揚番組と化していた。メグミは出演者のマリに悩みを相談するが、マリがネルガルの手先であったことを知る。
ネルガルの目的が、ボソンジャンプ独占への利権争いだったと知った前回
主要クルーは一度はナデシコから脱走も
やはりこのままにしておけなかった!!
口火を切ったのが「バカばっか」と一番冷めていたルリちゃんだったというのが熱い!!
最中「笑った」事が一番の変化ですね
そらウリピーも驚くわ!!
システムを奪還したのがルリ
船体を物理的に奪還したのがゴート
地球脱出を仕切ったのがプロスさん
普段は裏方に徹する大人コンビが、縦横無人にやってくれるのが痛快ですね
プロスさんラーメンまで作れちゃうの!
ゴートさんも…、笑った!?
アキツキも言ってますが、カチコチ堅物っぽいゴートさんのお茶目さもギャップ
わざわざ書置きを残していくわ
ゆで卵注文するわ
極めつけがユリカへの受け答え
メタ的に多分、ここから「ゴートさんはキツい状況」である事も踏まえて
魅力を掘り下げる回でもあったのね
今では半熟煮卵(煮ていない)が当たり前も
当時はゆで卵か
何気に時代を感じます
前回、ナデシコを脱走した面々
アキトたちは、第一話でアキトが務めてた雪谷食堂の御厄介に
小さいけれど楽しすぎる我が家
昭和なノリが暖かい
また傍目に恋多く、ノリノリなミナトさんが家庭的である事を掘り下げたのも魅力
そりゃブラコンのユキナも認めますわ
ゴートさんが船から下ろそうとしたのも納得
戦禍にいて欲しくない人よね……
まさに無敵看板娘!
先の艦戦回といい、ユリカの有能さをこれでもかと描いていきますね
正直宝の持ち腐れ
でもそれでも、彼女は“ここ”でもいい
アキトといれば幸せ
今回は旅立つも、大義や才能より恋に生きるユリカの人柄を感じます
とことん真っ直ぐなのが素敵ですわ
下船組代表がメグミ
声優に戻って活躍するも、アニメ業界はプロパガンダの真っ最中
好きだったものが変えられてしまった
逃げたつもりがネルガルの手の上で踊らされた
手の上の孫悟空状態が切ない
世の中、強いのはやっぱり権力なのか
ナデシコの活躍で月から、そして地球からも木星トカゲを叩き出すことに成功!!
テレビ広報映像に量産されたエステバリスが
昼の番組に軍人が呼ばれる日常
日常に「戦争」が溶け込んでいるのを感じる演出ですね
軍主力兵器受注、ネルガル大儲けですわ
敢えて脱走せず、船内に隠れていたルリ
ホウメイさんの猫スーツかわいい
彼女はフクベ提督の言葉を引き合いに、ナデシコは私たちの船だと呼びかけ
ネルガルの私兵となりかけたナデシコを奪還
皆を集めて木星へ飛びます
第一話、ネルガルは民間船としてクルーを雇用
第二話で火星奪還・民間人救出の「正義の味方」と偽って彼らの士気を高めました
ネルガルはクルーの善意を利用し騙したも
最後は彼らにナデシコを奪われたか
皆とて最初はただの労働者だったも
戦いを重ね、真相を知り「平和の為に戦いたい」とナデシコで思うようになったから
皆は私兵にも傍観者にもなれなくなったか
第一話と重なる再出発!!
出発点が雪谷食堂、台詞や陸戦フレーム活躍など「第一話」と重なるのが楽しい!!
脚本は監督の佐藤竜雄氏
あの情報量多い一話といい良い脚本ですわ
本作でも指折りに好きな回!!
以前、IFSシステムによる最新コンピュータに苦慮していた「おじさん」プロスさん
実は従来型コンピュータなら超凄腕!!
目にもとまらぬとはこの事
彼が事態を仕切り、更に第三話で苦戦した宇宙軍防衛システムをもハッキングで無力化
おじさん無双回でしたわ
白鳥ユキナ『木星の方角に行けば、きっと会えます!!』
前回ユリカが決意した、木星との和平へ出航
しかしアテが雑すぎる
そこがナデシコよね
散々盛り上げておいて、ロクな指針がない「いい加減」さも本作らしいですわ
真面目な人にはゴメンナサイって奴だ!!
アキト、コックとして“一人前”に
第21話でヒーローを目指すのをやめたアキト
今、戦うのは人殺しと同義だと
以降改めて将来を見据え、コックになろうと修行に打ち込んでいたらしい
親父さん曰く「逃げるのをやめた」
雪谷食堂で一人前だと認められることに
第一話の頃は頭がゴチャゴチャしてたアキト
過去を知りスッキリしたんですね
どうも十七話曰く、ヨメさんが趣味を理解してくれないので嫌になってたらしい
しかしヒカルに振られ吹っ切れたか
今、旅立つのは腕を必要としてくれる仲間の為
そして必ず「ここ」に帰って来るのだと
奥さんと愛を確かめ合ったか
ナデシコの船名を背負う背中が渋い
冒頭、補充クルーは研修で十日掛かると言及
そして鮮やかなナデシコ強奪
この最終局面で、第一話のキャッチフレーズ回収というのも奇麗な着地でした
アカツキのふてぶてしさも“優秀”ですね
全く負けを認めない男!!
ノリノリでゲキ祭開催を予告
どうした急に!?
やたら渋い声で歌い上げるのは、何かの社会運動かって感じですね!
予告シリーズで一番好き!!
第24話「どこにでもある『正義』」
和平への道を求め、木星に向かうナデシコ。九十九はそんなアキトらを出迎えた。九十九は、アキトに見せるためにゲキ・ガンガーの編集ビデオを持参していた。来客を盛り上げる意味もあって、他のクルーも加わり、ゲキ・ガンガー鑑賞会が開かれるが、意外にも参加者はみんなゲキ・ガンガーに感動してしまう。
激変に続く激変でショッキングな回
前半後半の温度差が屈指
あのアキトが、ゲキ・ガンガーを捨てると言い出すのもやむなしというシリアス回
前半で幸せの絶頂だったあの人も……
人生、一寸先は闇ですね…
つまりユキナを頼り、木連と和平を目指します
今や何の権限もない愚連隊ながら
木星から和平を申し出てきた今、自分達が交渉役になるんだと宇宙を駆けるのでした
仮にナデシコで木星側との交渉に成功した場合
この後どうなったんでしょうね
しかし交渉に出る直前、とんでもねえことを親友の月臣にカマしてしまいます
月臣はミナトにたぶらかされたと懸念
惑わされるなと助言も
対し白鳥、木連が信奉するアニメヒロイン・ナナコさんを「二次元の女性だ」と暴言
自分は生身の女性と幸せになるんだと出撃
ガチオタにそれを言ってしまうとは……
あくまでナナコさんは素晴らしいと前置きも
あまりの火の玉ストレート
曰く木星は極端に女性が少ない
それもあってナナコさん信仰が根深いのね
まさかのゲキ・ガンガー“感染”
交渉に白鳥さんを迎え、彼が持ち込んだ総集編アニメをクルーたちで鑑賞
第二話でガイが見せた時は淡泊だったも
今回は和平に関わるからとみんな真剣
果たして真剣に見たからか
或いは総集編が良く出来てたからか
はたまたうるさいガイがいなかったから
ナデシコクルーは、揃ってゲキ・ガンガーにドハマリへ
嘘だろゴートさん!?
純真なジュンくんなんて涙流し感動するレベル
ガイが生きてたらなあ!!
結果“コミケ”開催
1990年代当時、広く話題になりつつあった同人誌即売会イベント的な事案が発生します
戦艦内で何してんの!?
コミケ幕張メッセ追放事件も1991年か
余談ですが総集編映像にて、サファイアと飛行機雲を描くゲキ・ガンガーの姿が
これはゲストヒロインの名前
どうもジョーにとってのゲストヒロイン
ジョーはジュエル星人とのハーフであり、同郷のヒロインが登場したんだそうな
それであんなに美形なのか……
際し、バカばっかをユキナに先に言われて呆気にとられるルリちゃんの姿が
まあレアな表情
同年代だからか絡みが多いですな
ゲキガンガー祭り 通称・ゲキ祭
ヒカルちゃんの描いた美麗なポスター!!
しかしこのキャッチコピー、後から思えば悲劇の先触れでした
とまれクルーは大盛り上がり
散々オタク趣味とバカにされてきたはずが
ここにきて皆ハマるとはなあ……
またユリカは、同じゲキ・ガンガーのファン同士解り合えると和平に乗り気に
同じものが好きなら解り合える
いかにも“漫画的”
ですが良い落としどころにも感じます
感じたのですけれども……
第15話サブタイ遠い星から来た彼氏
まさに彼氏彼女の関係となり、一気に恋の炎を燃えあがらせた二人
白鳥さん幸せの絶頂でしたね
光る歯が眩しい!!
触発されアキトとユリカも白熱
ユリカと、何度目かの「キスか?」な場面となるも邪魔が入って中断
メグちゃんとはあっさりしてたものの
ユリカとは本当ひっぱりますわ
前も何気ない日常パートで言っていた事
最終回を見たら、本当に「終わってしまう」気がして見られなかった
オタクあるあるですね
私は見てしまう方ですけれども気持ちは解かる
しかしこれが大きな鍵だったとは
和平交渉、木連側に大きな動き
木連優人部隊、ボソンジャンプ可能へ遺伝子調整されたエリート部隊の司令官
優人部隊司令、草壁中将に朗報
曰く古代都市が見つかった
第一話で火星が占拠され始まった本作
以来ずっと発掘していたのね
第21話で、和平交渉を承認してくれた司令官
木連エース部隊司令官
彼の豹変が岐路となりました
この都市は元々ネルガルが発掘し、ボソンジャンプ独占へ隠蔽していたもの
遠からず見つかったのも確かか
豹変した中将は、地球を事実上の植民地にする条約へと内容を変更
暴論にも程がある!?
もちろんユリカたちが納得するはずがない
肝は地球側が交渉を蹴ったと、責任を押し付ける事が狙いだったんですね
木連側の和平派を抑え込む為の茶番か
同じものを見て、違う答えに辿り着いた人
撤回を要請する木連軍人・白鳥九十九
白鳥九十九『正義は…、正義はひとつのはずです!』
草壁中将『そうだ! 君の言う通り正義は一つだ!!』
親友・月臣の手で白鳥を射殺へ
草壁中将『“悪の帝国は正義によって滅ぼされる”……、それがゲキ・ガンガーの結末でもある!!』
アキト『えっ…?』
草壁中将『“悪の帝国は滅んで当然”!!』
『それがあの作品に貫かれていたテーマだ!!
即ち、我々を弾圧し木星に追いやった地球は滅んで当然!!』
略『正義は常にたった一つ!! 我々の側にある!!』
中将は私欲なく、ただ“正義の人”なのでしょう
正義の為なら多少の犠牲はやむを得ない人
確かに彼もゲキ・ガンガーが好き
ですが同じ作品を見ても、彼はアカラ王子たちを「滅んで当然の悪」としか思ってなかった
ミーエ達も死んで当然だと思ったのか
考え方の多様性、解釈の不意一致
オタクに限らず、あるあるでもあるも最悪の形で表面化してしまいました
正義はひとつ
あのポスターの文言がこんな形で……
『助けて!? 白鳥さんを助けてよ………!?』
悲しいのはあまりに人間的だったミナトさん
イデオロギーなんてどうでもいい
何より大事なのは恋人
その悲痛な叫びに、まっさきに動いたのが“元恋人”ゴートさんなのも因果でした
あんた男だよゴートさん!
交渉決裂、ユリカの決断
ユリカ『相転移砲、使えますか?』
紆余曲折で脱出し、真っ先にしたのは殲滅命令
幸いルリちゃんが問い返して中断も
もしここで撃ったら?
劇場版は、全く違った形になっていただろうと思うと感慨深いシーンでした
もちろんもっと悪い形になった可能性もデカい
ですが分岐点でしたわ
ナデシコ級三番艦“カキツバタ”
ネルガル会長、アカツキ直轄艦参戦で離脱成功
やだ三番艦つょぃ
Yユニット艦シャクヤクの一つ前
なのでクルーも、十分に慣熟訓練をする余裕があったらしい
アカツキなんだかんだで世話焼きですな
奇しくもガイ同様に“唐突な”死
そしてガイが望んだ、ドラマチックな死でした
当人は笑顔で逝ったも
血まみれの結婚指輪を遺されたミナトさん、大きすぎる傷を残しました…
渡さずいられなかった気持ちもわかる
解かるけれども……
白鳥さんの親友・月臣に、奴は地球のスパイだったと殺させた草壁中将
何と悪逆非道な男
ですが月臣も少なからず納得して撃った
いつもの月臣なら拒絶したはず
白鳥さんが恋に浮かれていたからか
ナナコさんを信奉する木連の人間として、裏切りに思えてならなかったのかね……
登場以来ずっとコミカルだったのに……
悪の地球を撃滅する力が手に入る
だから和平など結ばない
この人が総司令官だったのが、白鳥さんの不幸だったというべきなのか
戦時下の前線司令ならではなのかね
荒れるアキトと“ゲキ・ガンガー”
アキト『くそ…!! ……俺、何も見えてなかったんだ……
好きだったから……
すげえ好きだったから……』
『都合の良いとこしか見てなかったんだ……』
アキトはゲキ・ガンガーを卒業へ
草壁の言葉が腑に落ちたか
あの漫画は、悪を叩き潰す暴力の物語だったと納得してしまったらしい
好きになっちゃいけなかったんだと
バトル物は少なからずそうかも…
特に総集編だった14話が顕著、敵こそ「地球人は愛も知らない」と思ってました
思えば地球と木星の関係まんまなのね
互いに互いを鬼畜だと思ってる
でも敵が侵略者なのも確かで、最後には撃滅されて“ハッピーエンド”になってしまう
草壁中将は「人間味があろうと敵は敵だ」と
そうゲキ・ガンガーで学んだのか
ですが草壁中将、私欲的な描写ないんですよね
ただ正義を成し遂げたいだけ
ですがどんな理屈よりも、大事なのは大切な人に死んで欲しくない事だと
ミナトさんの叫びが本当に悲痛でした
予告担当はウリバタケさん!
第13話以降、毎回メンバーが入れ替わるのも大変楽しかった予告編
ここでウリピーとは原点回帰ですね
にしても23話は再起にカタルシスがあるし、24話は思いもよらない展開
これで残り2話ってのが大胆な構成ですわ
機動戦艦ナデシコ 感想 1996年
機動戦艦ナデシコ 第1話~13話
機動戦艦ナデシコ 第14話「『熱血アニメ』でいこう」第15話「遠い星からきた『彼氏』」第16話「『僕達の戦争』が始まる」
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機動戦艦ナデシコ 第23話「『故郷』と呼べる場所」第24話「どこにでもある『正義』」
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